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「訓練にはつけていけないから、ほとんど置物になってしまうかもしれないが……」
オーウェンは青い宝石を眺め、コンラッドに微笑んだ。
「大事にする。ありがとう、とても嬉しい」
コンラッドは感謝を受け取り、嬉しいような、恥ずかしいような、複雑な心境で苦笑いを浮かべた。
「俺、お前がいないと何にもできないな……。料理も掃除も洗濯も買い物も、なんなら勉強も剣もダンスも、ほとんどお前に教えて貰ったし……」
目の前の元従者の万能さは明らかに一般的ではない。そう知っていても、それを幼い頃から見てきたコンラッドにとっては身近なもので、多少の劣等感を覚える。オーウェンはそんなコンラッドを宥めるように柔らかく微笑んだ。
「これから覚えればいいだけのことだ。お前の世話なら趣味でやっているから、焦る必要は全くない」
約13年、従者としてコンラッドの世話をし続けてきたオーウェンは誇らしげに言う。コンラッドは呆れて笑った。
「お前の趣味変過ぎ」
「ふふ。さあ、食事にしよう」
その後、コンラッドはオーウェンの作った温かい夕飯を食べながら、いつもより少し意識して何度も「おいしい」と伝えてみたりした。
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