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2.2つの顔
翌日。王国騎士団王都本部内、訓練場。
コンラッドと1人の女性が訓練用の木剣を構えて向き合っている。
「用意……始め!」
教官の声で動き始めた2人。しかし決着はあまりにも一瞬だった。
「ぐうっ……」
「……そこまで!」
1人が腹を抱えて尻餅をついた。立っているのはコンラッドだ。周囲に並んで座って見ていた他の訓練兵達からざわめきが湧き上がる。
「うわ……今のまともに入ったぞ。痛そ……」
「さすが入試次席だな。女じゃ相手になんねーわ」
「くじ運悪かったなー。瞬殺すぎでウケる」
入試次席、とはもちろんコンラッドのことだ。首席はオーウェンで、2人は他の同期達と圧倒的な実力差を持つ騎士団の期待の新星だ。
しかし今日のコンラッドは少し空回っている。昨日の失態を取り返そうとやる気を出した結果、手加減を失敗してしまった。ヤバい、と思ったコンラッドは「表の顔」で相手に駆け寄る。
「ごめん! 大丈夫……!?」
しゃがんで手を差し出すが、相手の女性、クリス・スタンレイは払い除けて自力で立ち上がった。
「チッ、剣だけは達者だな。1人じゃ何も出来ない坊ちゃんの癖に」
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