2.2つの顔

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 教官が立ち去った後、姿勢を崩した訓練兵達の雑談に紛れて、クリスが舌打ちをしたのが聞こえた。オーウェンは一瞬ムッとしたが、すぐに冷静になろうと頭を振る。コンラッドが呆れたように「表の顔」のまま笑う。 「もう……オーウェンったら、意外と喧嘩っ早いんだから」 「すみま……すまない。誤解は正さなければと思って、つい」  上品な口調と柔らかい笑顔に釣られて敬語が出そうになり、言い直す。しゅんとしているオーウェンにコンラッドは微笑んだ。 「庇ってくれるのは嬉しいんだけど、僕は大丈夫だから。オーウェンも気にしないで、ね?」 「ああ。分かった」  オーウェンは苦い顔のまま頷いた。コンラッドは元気づけるようにわざと明るく振る舞う。 「お腹空いちゃった。早く何か食べよう?」 「ああ、そうだな。一緒に買い物に行こう」 「うん。……節約、しないとね!」
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