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教官が立ち去った後、姿勢を崩した訓練兵達の雑談に紛れて、クリスが舌打ちをしたのが聞こえた。オーウェンは一瞬ムッとしたが、すぐに冷静になろうと頭を振る。コンラッドが呆れたように「表の顔」のまま笑う。
「もう……オーウェンったら、意外と喧嘩っ早いんだから」
「すみま……すまない。誤解は正さなければと思って、つい」
上品な口調と柔らかい笑顔に釣られて敬語が出そうになり、言い直す。しゅんとしているオーウェンにコンラッドは微笑んだ。
「庇ってくれるのは嬉しいんだけど、僕は大丈夫だから。オーウェンも気にしないで、ね?」
「ああ。分かった」
オーウェンは苦い顔のまま頷いた。コンラッドは元気づけるようにわざと明るく振る舞う。
「お腹空いちゃった。早く何か食べよう?」
「ああ、そうだな。一緒に買い物に行こう」
「うん。……節約、しないとね!」
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