2.2つの顔

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 私服に着替え、王都の商店街へ向かった2人。オーウェンはやや眉を顰めて店に並んだ肉を眺めている。 「オーウェン、何悩んでるの?」  オーウェンの顔を覗き込むコンラッドは変わらず表の顔を作っている。オーウェンはちらりとコンラッドの目を見て、すぐにまた肉に目を戻して眉間の皺を深めてしまった。 「……金額のことを考えれば1番安いものを買うべきだが、どの程度質が落ちるのか分からない」 「質」 「あまり不味いものをお前に食べさせたくはないし……」  平民出身とはいえ、オーウェンだってこれまでの人生の大部分をブライトウェル家の使用人として過ごしている。オーウェンが食べていたものも、主人達の残り物だから品質は最高級だったはずだ。屋敷を出てからは最高級品ではなく「ちょっとお高い」程度のものを買うようになったが、それでも露骨に味が落ちた。  流石に安全性には問題ないと思うのだが……と、オーウェンは目を伏せて悩む。しかしコンラッドは小さく横に首を振った。 「僕……って、あー……」  コンラッドは気付いてため息を吐く。無意識で作っていた表の顔を崩し、頬を引っ張ったり叩いたりして、強引にスイッチを切って「本当の顔」を引っ張り出した。
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