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1.8ゴールド50シルバー
オーウェン・コックスは努めて小さくため息をついた。
目の前には青いサファイアが輝く2つの指輪と、元主人、現相棒の男。言葉を失った様子のオーウェンを見て、直前まで目を輝かせていたコンラッド・ブライトウェルは不安そうな顔をする。
「あ、あの……ダメだった……? 1個はお前に……と、思ったん、だけど……」
オーウェンは精一杯言葉を選ぼうと思考を巡らせながら咳払いをした。
「坊ちゃん……じゃない、すまない、コンラッド。これはいくらだった?」
動揺のあまり禁止された敬語を使いそうになり、慌てて言い直す。コンラッドはこてんと首を傾げた。
「お金? えっと……わかんねー」
「買った時に領収書を貰わなかったか?」
「りょーしゅーしょ……」
「金額の書かれた紙だ」
「あー……これ、かな?」
コンラッドはポケットに突っ込んでいた紙を取り出す。オーウェンはそれを受け取って確認した。
「……1つ8ゴールド50シルバー。約9ゴールド、2つ合わせて18ゴールド、か」
オーウェンは手を口元に当てて少し考え込んだ。
「オ、オーウェン、言いたいことあるならちゃんと教えて?」
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