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翌日、的場製菓の受付として座っている私の顔を隣に座る先輩がマジマジと見てくる。 「スキンケアとかファンデ変えた? 今日凄い肌の調子良いじゃない。」 「そうですか?それは嬉しいです。」 両手で頬を包みながら先輩に笑い掛けると、先輩は私をバカにしたような顔で見てくる。 「永家さんってフランス語苦手でしょ、たまにそういう姿を見ると安心するのよね。 何でも完璧過ぎてちょっとイライラするから。」 「私が外国のお客様の対応中、心配そうに見てくれる先輩の姿を見て私も安心していますけどね。 先輩は強い女性過ぎて怖かったので。」 「あなた、いつからか急にそんなことも言うようになったわよね?」 「すみません、私は本当は汚い女なので。 今まで嘘偽りの姿を見せていました。」 「いいじゃない、そういう子の方が私は好き。 永家さんってモラハラDV男の餌食になりそうな感じだったのよね、私の母親に似てて。 汚い言動どんどん見せた方がいいわよ? そういう女をああいう男はターゲットにしないから。」 「それは知りませんでした!」 「女はワガママなくらいが男が可愛がってくれるのよ。」 「そういう素敵な彼氏さんが出来たんですか?」 「まあね、普通に高校の時の後輩。」 「そういうの良いですよね~! そういうのが1番憧れます~!!」 「・・・あなたも大変よね、あの永家の本家の長女とか。 この前聞いてビックリしたわよ。」 「はい、なので私、婚約者がいるんです。 家が決めた婚約者が。」 私の初めての言葉に先輩は驚いた顔をしている。 「そうなの・・・ちゃんと好きになれてる相手なの?」 「人としても男性としても夫としても父親としてもきっと素敵な人です。 でも、だからといってちゃんと好きになれるかは別問題ですよね。」 「それは同感。 頭と心は案外繋がってないのよね。」 「それ名言ですよ、先輩。」 「おい!お喋りばっかしてるなよ!!」 先輩とここまでお喋りをしたのは初めてで楽しんでしまっていた時、副社長である和が外出から帰って来たようだった。
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