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「29にもなって結婚も出来ないなんて、永家の恥だ!!」 土曜日、料亭の座敷でおじいちゃんが私に箸を投げつけてきた。 と、思ったら・・・隣に座っていた私の従妹がそれをキャッチした。 「おじいちゃん戦国時代の人だもんね、流石だよね。」 片手でキャッチした私の従妹、3歳下の妙子ちゃんがおじいちゃんの前に箸を置いた。 「妙子はすっかり女の子らしくなってな~。 こんなに女の子らしくなって偉いぞ~。」 「おじいちゃんって絶対に女に騙されるって! 私、中身は何も変わってないよ!?」 「そんなことないだろ、あの製薬業界トップの加賀製薬の人事部に採用されたなんて中身もしっかりしたんだよ。 それに比べて結子は、いつまで菓子会社の受付になんて腰掛けてるんだ。」 「結子はうちの会社の一級品の顔だぞ、妙子とソックリのこの顔面で男も女も結子の所に行列出来るからな。」 和がそんな大袈裟なことを言ってくれフォローしてくれる。 「それはそうと、翔子は何で今日も来ないんだ!!! いつもいつも不参加で!!! あいつらの教育は本当になってない!!!」 「翔子はお仕事なの。」 「何が仕事だ!女の癖に生意気な!! 翔子は昔から女の癖に生意気だった!!」 「おじいちゃんってウケるよね、生意気に女もクソもないのに!! めっちゃ女好きじゃん!! やっぱりモテる男は女への意識の仕方が違うね~。」 「俺は昔は本当にモテたんだよ。 立ってるだけで女達が群がってきて俺を巡って喧嘩にもなって。」 「今でもモテてるんじゃないの~? おばあちゃん泣かせちゃダメだよ~!」 妙子ちゃんの言葉におじいちゃんがご機嫌に大笑いしている。
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