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日曜日 真っ白なドレスを着て歩きにくい靴を履き、実家の庭でお母さんと並んで座った。 「早くそんなの脱いじゃいなさいよ。」 「いいの・・・? 実家ではこの格好の方がいいのかなって思ってたんだけど。」 「いいに決まってるでしょ。 そもそもそんなの着せたくなかったし。 お母さんも着たことがあるから、それがどんなに窮屈か分かってる。」 「お母さんも着たことがあるの?」 私が聞くとお母さんはニヤッと笑って・・・ 「お母さんもお姉ちゃんとたまに入れ替わってたからね。」 それには驚く。 「でもお母さん達は双子じゃないし・・・。」 「そうね、だから結構大きくなってから。 お姉ちゃんはお母さんよりも2つ年上だったからそれなりに強くて、私が守らないといけないくらいじゃなかったけど。 でも息苦しそうではあったからたまに入れ替わってた。 2つ年上のお姉ちゃんと入れ替わる為にお母さんは色んなことを努力した。 結子と翔子も入れ替わる為にお互い苦手なことも努力出来たでしょ?」 「うん、努力した・・・。 おじいちゃんから聞いたよね、私達たまに交換っこしてたんだよね。」 お母さんにこのことを初めて告げると、お母さんは大笑いをした。 「おじいちゃんからは聞いてないわよ。 2人が交換っこをしていたのは昔から知ってた!!」 そう言われ驚きながらも考えた。 「もしかして、フランス語分かるの?」 「フランス語?全然。」 「じゃあ、どうして知ってたの?」 「そんなの結子と翔子のお母さんだからに決まってるでしょ。 子ども達がどんな姿で何になってても、そんなの一目見ればどっちがどっちかなんて分かるわよ。 ・・・お父さんは分かってなかったけどね。」 驚いてばかりだったけれど、私は大笑いをしてしまった。 「お母さんって凄いんだね!!」 「お母さんもお母さんから言われてたけどね、自分もお母さんになったら本当に分かってビックリしちゃった。」
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