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それには大笑いしてしまうと、お母さんは苦笑いをした。 「お母さんもお姉ちゃんと入れ替わってたから知ってるけど、あの人は傲慢で人の話を何も聞かないのよ。 だからこそ的場製菓を永家に買収させなかったんだろうけど。 でも永家の本家の長女とか何も関係なく、すぐにお姉ちゃんのことを妊娠させたの!!」 「和のお父さん、お母さんとオバサンが入れ替わってること気付いてたのかな? よく和のお母さんの方を妊娠させられたよね。」 「そんなことをあの破天荒な人が気付けるわけないでしょ。 私がお姉ちゃんとして的場製菓の受付をしてた時はお姉ちゃんの時以上に言い合いをしてきたから、動物的な勘だけで私のことを抱かなかっただけだと思ってる。」 「妙子ちゃんにもそういう勘があるからね。」 「妙子ね、生まれた瞬間から永家の“主”になれる素質を持ってて全員でどうするか悩んだわよね。 お姉ちゃんだけは“そういうのとは違う、あの子を療育に通わせるつもりだ”って言ってたけど。 普通でなくて良いからね、こんな巨大な“家”の“そのもの”になる人間は。 普通ならなれないからね、そんなものに。」 「どうして翔子を選らんだの? 同じ日に生まれたのに、長女の私ではなくて翔子を。 どうして翔子にスニーカーを履かせたの?」 聞いた私にお母さんは気持ちが良いくらいの笑顔で笑った。 「いつも翔子が先だったから。」
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