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実家の私の部屋、クローゼットを開けてから苦笑いをした。 お母さんからは“1番好きな服を”と言われたけれど、持っている服はどれもお高くて綺麗なワンピースばかり。 それが私に似合うのだとは理解しているけれど、“好きかどうか”と聞かれたら素直に頷けない。 クローゼットの前で悩んでいた時、私の部屋の扉が開いた。 「お母さん、何だって?」 翔子にいつものように聞かれたけれど、今回は・・・ 「いつもと全然違った!!」 「私も!お父さんからいつもと全然違うことを言われた!」 2人で笑い合い、それから見詰め合った。 「情報共有しておいた方がいいかな?」 「どうだろう、うちらまた交換っこするかな? ていうか、増田ホールディングスの社長の奥さんになった結子と私が交換っこするってヤバくない? 私、一応永家ホールディングスの社長候補になったんだけど。」 「確かに~! もう交換っこはやめた方がいいかな? でも・・・」 「「姉妹のお喋りとして。」」 私が言うと翔子の言葉と重なった。 それに翔子がニヤッと笑う。 「これこら先、何があるかなんて分からないからね。 姉妹のお喋りとしてお互いのことはよく知っておこう。 せっかく双子としてこの世界に生まれ落ちたんだし。」 「そうだね、それに増田君には申し訳ないけど、翔子のことが1番大切なのは変わらないし。」 「それは私も。」 男の子の格好でポニーテールをしている翔子がそう返事をしてくれた。 そんな翔子を見詰めて私は両手を伸ばす。 翔子もすぐに両手を伸ばして私を抱き締めてくれた。 増田君には申し訳ないけれど、誰よりも何よりも大切な翔子に伝える。 「好き、好き、大好き。」 「私はそんな言葉じゃ言い表せないけどね!! でも私も結子が好きで好きで大好き!!」 「着せてあげる、私が翔子にドレスを着せてあげる。」 「え!?いらないって!!」 「この前そうワガママ言ったでしょ?」 「あれは結子に最後に力を与える為のワガママで・・・!!」 慌てている翔子の身体から両手を離し、私は勢いよく真っ白なドレスを脱ぎ捨てた。
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