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誓いのキスはカットされたけれど、幸せな結婚式を挙げた翌日。 的場製菓の受付で先輩と並び仕事をしていく。 そして来客が途切れたタイミングで先輩に声を掛けた。 「さっきのお客様の時に助けてくださってありがとうございました。」 「あんなに訛りのある外国語なんて普通は分からないから!! そっちよりも増田さんとのことでしょ! はい、続き!さっきの続きから!!」 的場製菓では朝から話題が尽きない。 1つは的場製菓が増田ホールディングスに買収されたこと。 そしてもう1つは、増田君が増田ホールディングスの社長に就任していて永家財閥の本家の長女、つまり私と結婚をしたということ。 「私、永家さんの婚約者だった人に頑張ってたことになるじゃない!! 増田さんが婚約者だったなら早く教えなさいよね!!」 「すみません。 先輩、すぐに副社長の方に切り替えていたので・・・。」 「“好きで好きで大好きな彼女がいる”なんて爽やかな笑顔で言われたら、もうそれ以上は頑張る気もなくなったのよね。 まさかその“彼女”が私の隣に毎日のようにいたなんてね!!」 増田君と結婚した後、永家と増田の両家が力を合わせ綺麗に処理をしてくれた。 元々信之君も一夜君も婚約者であると発表をされていなかった私。 そして翔子と付き合っていることになっていた増田君。 そんな私達は小さな頃から婚約をしていたと。 それを増田の元会長だけが反対をしていて拗れていたから、増田君は翔子に扮している私とデートなどをしていたと。 私達がやっていた灰色で真っ黒な嘘、それが両家の大人達によって綺麗な話になって広まった。 「前にここに来た“婚約者”って妹さんの方の婚約者だったのね! あっちの婚約者の方がやっぱり私のタイプだけどね~。 絶対にDVとかしなさそうだし。 でも今の私の彼氏とも何となく似てるから、多分精神的なDVしてくるわよ、あの人。」
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