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増田君の安心した横顔に笑い掛けていた時、増田君のその横顔がキラキラと輝きだした。 それに自然と笑顔になり、私もその視線の先を見る。 そこには、あった。 今日も“ゆきのうえ商店街”があった。 メインの商店街のシャッターは閉まっているお店が多いけれど、“ゆきのうえ商店街”のアーチの向こう側にはお客さんが結構歩いている。 所々ある街灯、そして雪枝の実家のリビングの灯り、それらでそのお客さんの楽しそうな顔が見える。 それだけで、これから増田君の幼馴染み達が開いているお店に向かっているのだと分かる。 どのお店も夜になるとお酒を提供しているから。 この前増田君とも初めてそのお店にも入れた。 暗いはずの商店街の道。 それなのにこんなにカラフルに見える。 こんなにもキラキラと輝いて、カラフルに見える。 「私も“ゆきのうえ商店街”が好き。」 呟いた私の右手を増田君が強く握った。 「うん、俺も好き。」 「私も好き。」 「俺も好き。」 「大好き。」 「俺も大好き。」 嘘ではないその言葉を伝え一歩踏み出すと、増田君も同じタイミングで踏み出した。 それに2人で笑いながら商店街の道を歩いていく。 増田君と私が住む家へと。 ウサギ小屋に見えるかもしれないけれど、幸せしか詰まっていない家へと。 一夜君のご両親の家を通り過ぎ、雪枝と駿君が住む家も通り過ぎ、雪枝と駿君の実家も通り過ぎる。 みんなの家を通り過ぎ着いた場所。 “ゆきのうえ商店街”の増田一家、それは今では増田君と私夫婦のこと。 そして・・・ 1階には宝多米店の純米酒。 “ゆきのうえ商店街”で生まれた天使達の名前がラベルに書かれている純米酒のお店。 増田君も私もお店が開いている時にはこっちから帰るようにしている。 まるでみんなから“お帰りなさい”と言われているようだから。
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