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「それは・・・違う。
結子に真っ黒になって貰う必要があったから敢えてゆっくりして、“翔子になって俺としてる”っていう意識を強く持たせてた。」
「そっか・・・。
うん、凄く苦しかった・・・。
4月に入ってから翔子である“結子”が一夜君とそういうことをして、“結子”は処女ではダメになって。
“私”は増田君に“エッチしたい”ってお願いをして。
それから“私”の時はたまにしてたけど、凄く苦しかった・・・。
全部が灰色に見えちゃうくらい、苦しくなってた。」
「うん、ごめんね。」
増田君がすぐに謝ってくれ、私は首を横に振った。
「増田君、“翔子”の時と全然違うからいいよ。
“翔子”の時はなかなか出来きなくて大変だったくらいだもんね?」
そう言いながら、私を抱き締めているだけなのに感じるお腹に当たる増田君のソレ。
ソレに少しだけ触れると増田君の身体が大きく反応した。
「“この翔子は結子だ”と思ってなんとかしてたけど、結局最後まで出来たことなかったからね、俺。」
増田君がそう言って、私の唇にゆっくりと唇を重ねてきた。
翔子の時はその最中にキスも愛の言葉も囁くことはなかったのに。
「結子、好きだよ。」
そう言って私のことを優しくベッドに寝かせてくれた。
「うん、私も増田君が好き。」
私もそう答え、今日も続ける。
「好きで好きで大好きだけど、でも・・・」
「翔子のことが1番好きで好きで大好きなんだよね?」
増田君が優しく笑いながら私に覆い被さってきた。
そして・・・
「嘘でいいから、“好き好き大好き”っていう言葉だけ聞かせて。」
そう言われて・・・
「了解です。」
笑いながら返事をすると、増田君も楽しそうに笑いながらまた優しくキスをしてくれた。
それから私の服を脱がしてくれ、増田君もスーツを脱ぎ始める。
一緒に暮らし始めてからほぼ毎日のようにしているけれど、“翔子”の時には感じなかった恥ずかしい気持ちになっていると・・・
増田君の動きがピタッと止まり、真剣な顔で私のことを見詰めてきた。
「どうかした?」
「いや、あの・・・一応確認するけど、本当に結子だよね?」
そんなことを初めて聞かれたので笑いながら頷いていると、増田君が困った顔で笑った。
「ごめんね、俺もう2人が入れ替わってても分からない。
“ゆきのうえ商店街”に戻ってみんなの笑顔を見た時、過去より今を、未来を進むようにっていうお告げを貰ったのかも。」
そんな言葉に首を傾げると、裸になった増田君がまたゆっくりと私に覆い被さった。
「もしも入れ替わる時は事前に教えて?」
「誕生日プレゼントを渡す時事前に教えるって言ってくれてたのに、増田君は教えてくれなかったよ?」
「翔子には事前に教えてたけどね。」
「そっか、そっちか・・・!!」
私のことを優しい顔で見詰め、何度もキスを繰り返し愛の言葉を囁いてくれる増田君。
「翔子にこんな増田君を見られちゃうのは嫌だから、ちゃんと事前に言うね・・・。」
「うん、お願いします・・・。」
始まったばかりなのにもうダメそうな増田君に微笑みながら、この最中に初めてワガママを言う。
「もっと、優しくしないでして欲しいな・・・。」
「そんな可愛すぎるワガママは、ヤバイね・・・。」
end.......
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