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そう思いながらポケットに両手を入れ繁華街を歩いていく。 そして、その人を見て私は笑った。 それを見て、その人も私を見付けて輝く笑顔で笑い掛けてくれる。 私はその人に向かって走り出した。 「譲(ゆずる)!!」 「おせーよ、何してたんだよ?」 「化粧直ししてた!ごめんね!!」 ラフな格好で輝く笑顔で私を見下ろした譲が右手をゆっくりと伸ばしてきた。 その右手の親指は今日も私の唇を捉える。 それに無意識に小さく身体が反応すると、譲はその親指を見て感心した顔をする。 「このリップすげーよな、全然落ちない!!」 「うん、このリップどこも売り切れてて買うの大変だったもん!!」 今日もそう言って笑うと、譲がニヤッと笑い・・・ 急に私の腰を引き寄せてきたかと思ったら・・・ グッと私を自分の胸に衝突させ・・・ 「・・・ンッ」 キスをしてきた。 街中で、キスをしてきた。 それも唇を重ねただけではなくて、しっかりとしたキスで・・・。 そんなキスをされ、私は目をゆっくりと閉じて受け入れた。 結構長い時間譲とキスをし、譲はゆっくりと私の唇から唇を離した。 優しく整った顔をしているのに不思議と男らしく見える顔で私を見詰め、またニヤッと笑った。 「どう?俺の唇にリップついた?」 「何回も言ってるけど、これは流石につくって!! それにこんな人前でキスしてこないでよ!! 誰かに見られたらどうするの!!」 私の真っ赤なリップが移り、うっすらと赤くなった唇を満足そうにして譲は笑う。 「自分の彼女とキスするのに他の誰かとか気にするかよ!!」
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