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静謐
ほかりとあいた空洞に
はらりと静謐落ちてきた
そこには何にもありゃしない
全部が世界を無で包む
いっぱいに満ち満ちて
私は息が出来ません
無だというのにおかしいな
何にもないのに変でしょう
息継ぎハーッと呼吸をすれば
見える景色が色を成す
不意に訪れた芳香は
悪戯に私をいざなって
静謐に彩りを添えた
昼の光は邪魔なだけ
夜を纏いて輝くように
あたかも安寧を引き連れて
時を置いて過ぎ去るのみと
天上の城郭は
雲上の彼方
果てまで遠く
続いて遠い
果ては静謐
静謐なるをは
静謐の中
灯る
一息の吐息よ
じっと見つめて
十全に
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