躍る屍影は、ただの幻影

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303 「・・・・・・・最後の質問です。神界蓮さんはいつもあらゆる分野で一位を独占していますが・・・・・・何かコツや秘訣などはあるのでしょうか?」  あの時の事を思い返していると、冷たい視線を向けられているのを感じた。  先程とは一変して、探るような少し刺々しい雰囲気の伏木さん。  その様子を見て、この取材の本当の目的が、この事を聞くためだと確信した。 「秘訣ですか・・・・・・一位を取るためにしている訳ではありませんが、大切なのは努力だと思います」 「ほう? 随分と在り来りな回答ですね。一体あなたはどのようなことを?」 「俺は今まで神界家の後継者として生きてきました。幼少期から五十を超える習い事をしていましたし、一週間ほど寝ないで勉学に励むこと珍しくはありませんでした」 「そうですか・・・・・・」 「とにかく行動に移すことが重要だと思います。俺は基本的に一週間もあれば大抵のことはなんでも習得することが出来るので、皆さんも色々なことに挑戦してみると良いかもしれませんね」 「・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうございました」    伏木さんは小さな声でお礼を言うと、ホールを出ていってしまった。  舌打ちをしていたけど、何か気に触ることでもしてしまったかな?
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