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「もっと俺の弟について聞いてくれても良かったんだけどなぁ・・・・・・」
弟達のことなら、原稿用紙二千枚に及ぶくらいには話せることが沢山ある。
グラスに注がれた飲み物の水面に、弟達の姿を思い浮かべていたら、いつの間にか空になっていた。
無意識のうちに、飲み干してしまったみたいだ。
新しく取りに行こうかとも思ったが、その前に会長達がどうなったのかを確認する。
視線を大勢の集まる場所へと移すと、険悪な雰囲気が漂っていた。
「いい加減認めたらどうだ? 何も無い場所で転ぶことなどあるはずがないだろ?」
「会長のおっしゃる通りです。仮に転んだとして、その液体が結弦に"だけ"掛かる確率がどの程度かご存知ありませんかッ!?」
「故意に俺達を避けたとしか、思えねぇよなぁ?」
「うっ・・・僕は本当にそんなつもりじゃ・・・ッ!」
生徒会役員に囲まれた一人の生徒が、涙を流して、口元を抑えている。
その右手には、空のカップを持っていた。
傍から見ると、生徒会役員が無理やり生徒を尋問しているように見える。
それに、あの生徒は確か・・・・・・・親衛隊の幹部をしている先輩だったかな?
何度か見かけたことがあるなぁ・・・。
「あの転校生がたまたまその先に居たのが悪いんじゃないの〜?」
「生徒会役員の皆様は運動神経が良いもん。鈍臭いアイツが避けられなかっただけだよな〜?」
「アイツのせいで生徒会役員の皆様方に責められて、ホント可哀想・・・・・・」
「自業自得なのにね〜」
「さっさと死ねばいいのに・・・・・・」
生徒達の会話や現状を元に、大まかな状況は理解した。周囲の反応は、あまり良くなさそうだな。
「さて、俺はどう動くべきか」
委員長はこの場を去ってしまったし、周囲を見ても動けそうな風紀委員は見当たらない。
下手に執行役員である俺が介入すると、事が大きくなりそうだしなぁ・・・・・・。
そもそも、水が掛かった程度の話では、執行役員が直接介入する理由としては足りないしね。
現行犯で"故意に水を掛ける瞬間"を多くの生徒が見ていたならともかく、
生徒達の意見が親衛隊の先輩側に傾いている以上、現段階で俺が関与するのは難しいだろう。
申し訳ないけど、今は様子見かな。
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