躍る屍影は、ただの幻影

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308 「クソがッ・・・」 「なんか瑞希ちゃんらしく無かったよねぇ〜。いつもの瑞希ちゃんなら、事件を見過ごしたりはしないはずだよ・・・・・・」 「そうですね」  二人は副委員長の言動に違和感を覚えた様だ。  その違和感の正体――理由については、俺はよく知っている。  風紀委員会の中ではタブーとされているから、もう誰も語らないんだけどね。 「瑞希が協力しないとなれば、疾風の情報を待つしかないか。神界も捜査に協力しろ」 「申し訳ありませんが、それは不可能です。今は捜査権がありません」 「俺様に借りがあるのを忘れたようだな?」  会長と壁の間に挟まれて、脅迫を受ける。  もちろん俺は毬藻くんのためにも、関与するつもりではあるんだけど。  生徒会が不信を買ってまで、わざわざ今回の件を追求する理由はあるのかな。 「ここまでされる理由が分かりません。結弦くんに対する制裁には沈黙を保っていましたよね?」 「ああ。俺達が庇えば庇うほど、結弦に対する嫌がらせが増えるだろうからな」 「そこまで理解されていたのなら、どうして事態を悪化させたのでしょうか?」 「・・・・・・・・・・・」  俺が最初に提案した、毬藻くんを生徒会入りさせる案は、会長達が拒否した。  毬藻くんが生徒会入りすることによって、不満を持つ生徒が増えるのを懸念したからだろう。  にも関わらず、会長達は毬藻くんとの交流を絶とうとはしない。  だからと言って、側に置いて守るという手段も取らないし、行動が矛盾している。  交流会であるにも関わらず、全校生徒を無視して毬藻くんと話すのも会長達にしては軽率だ。 「それは・・・・・・」 「ちょっと蓮ちゃん! ストップストップ! 後は俺と話そぉ?」  会長が何かを言い掛けたその時、会計に抱えられ端へと連れて行かれた。  話したくない内容だったみたいだし、聞かなくて正解だったかな。
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