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歩くんから報告を受けて、被害者の元へ向かう。
千早くんは喧嘩が出来なくて落胆した様子だったけど――大きな被害が無くて、本当に良かった。
「こんにちは、俺は執行役員の神界 蓮です」
「・・・・・・」
被害者と目線が合うように屈んで、笑顔を作る。
チラリと視線を向けてはくれたけど、すぐに俯いてしまった。
「うーん。今はあまりお話したくないかな?」
「煩い・・・」
「ごめんね。でも、ここにずっと留まらせる訳にもいかないんだ」
「・・・・・・」
事件の通報を受けて向かう場所は、大抵過去に通報を受けたことのある場所だった。
このまま此処に座っていたら、また別の生徒がやって来て、被害に遭う可能性だってある。
「触られるのが嫌じゃなかったら、俺が運んであげるよ?」
「ッ!? や、辞めてください! 自分で歩けます!」
両手を広げて、抱っこしてあげようと思ったら、顔を真っ赤にして立ち上がった。
俺に抱っこされるの、そんなに嫌なのかね。
「いや、高校生で抱っこはキツいだろ」
「えー、俺は良い案だと思ったんだけどなぁ・・・冗談だよ」
少し暗い空気を変えようと思っただけなのに――歩くんにドン引きした様な顔で見られた。
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