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「あのさ、TAKURO。あんたが他人に毒を吐く割に、繊細で傷つきやすいタイプなのは分かるけど。
いい加減向き合った方がいいよ?
あんた、吉元拓郎は、TAKURO🏴☠️という少々イタい名前でライトノベルを書き、そして割と有名になった。すごいじゃん。
イージーモードで他人を嘲笑ってちゃ、絶対に出来ないことだよ。逃げないで努力した結果だよ」
「む…」
「そりゃ、たまには死ぬほど恥ずかしくて、情けなくて、全人類の前から逃亡したくなる時だってあるけどさ。
あ、ちなみに私もよくあるけど。
帰って寝て、次起きた時には忘れるもんよ」
「...ディスられているのか、励まされているのかよく分からんが…
強いんだな、松井氏は」
「当たり前!強くなけりゃ、リアル看護師なんかやってらんないもん」
彼は再び、夜空を見上げた。
月に映える綺麗な横顔が、どこかすっきりとして見える。
「...何か...松井氏とこうしてると、ちょっとずつ思い出してきた…ような気がする。月の光にはそういう作用があるのかも知れないな」
「えー、ホントに?!良かったじゃん」
「うん。…それでさ俺、あと半月くらいで退院らしいんだ。
で、だ。
その後も…たまにこう…月見というか、その、君と一緒に月見というか…するのは可能だろうか?!
そのっ、あくまで思い出すためにだが!」
何故か急にしどろもどろになった彼に、私は胸を張って言ってあげた。
「何言ってんのよ水臭い。勿論いいわよ。私たち友達じゃない。
失われたあんたの記憶を呼び戻すために、全面的に協力するって!」
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