44人が本棚に入れています
本棚に追加
「はっ、妄想に縋る夢など、たかが知れてるわ。
そもそも、あんたが乙女の夢を砕こうとするから悪いんでしょ!
言っておきますけど、最初に絡んできたのはそっちなんですからねーだ」
「…あの〜」
「絡んでない!あんたが俺に話しかけてきたからだろ!?
“うわー、ライトノベル読まれるんですか。私も読書好きなんですー”
って。
だれが“乙女”だ?!
俺の推し、七ッ橋乙女ちゃんを愚弄するな!
あと、語尾伸ばすのやめろ、可愛くねえから」
「なんですって、この…」
「…あの〜」
「「うるっさいっ!!!!」」
異口同音で振り返ると、同室の患者さん、糖尿病の市橋さんが怯えている。
「す、すみませぇん…」
更には、
縮こまって謝る市橋さんの後ろに、額に青筋を立てにっこり嗤う看護師長の姿が。
青くなった私に、彼女は猫なで声で告げた。
「松井さ〜ん?もう検温は終わったのよね。
ちょーっとこっち、いらっしゃぁ〜い♡」
「…はい」
大人しく師長の後に従う姿に、アイツが声を殺して嘲笑っているのがムカついた…
最初のコメントを投稿しよう!