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「あなたねえ、
病室で何騒いでるの、看護師のすることじゃないでしょうが」
ナースステーションに入った途端、師長の様子は豹変した。アレだ、般若にそっくりだ!
「だ、だって。203号室のヤマダタロウさんが、私につっかかってくるから」
「ったく、日頃から言ってるでしょうが、面倒な人はうまく躱してやり過ごしなさいって。あなた、担当患者の一人一人に立ち入りすぎ」
「うう…そんなこと言って。あの人何でもつっかかってきて面倒だからって、私に押し付けたの、師長じゃないですか」
「…え?ちょっとナニイッテルカワカラナイ」
「ひどい!急にカタコトになってる!」
「まあ、とにかく。
ヤマダタロウさんのことは、いい感じでやり過ごして。
...彼も辛いのよ。事故で運ばれてきて、気づいたときには解離性健忘(=記憶喪失)で、自分の名前まで忘れちゃってるっていうんだから。
なるべく優しくしてあげてね。
…あ、それから、くれぐれも逃げられないように見張っといて。
入院費踏み倒されたら困るから」
「………」
自分が言いたいことだけいうと、師長は“これだからZ世代は”などとホザきながら、とっとと向こうへ行ってしまった。
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