18人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ三田鹿乃子を作ってみない?」
男はわざとらしくパチンと指を鳴らした。
「え?」
「彼女を模したモデルを作って、あんたがモーションキャプチャで動かす。振られて自殺した動画を拡散されるなんて、それこそ三田鹿乃子が可哀想だと思わない?」
「それは……そうかも」
「恐怖動画を上書きするくらいの可愛い女の子を、俺らで作ってあげるの。どう?」
画面のキャラクターはだらんと腕を下ろしたまま、事の成り行きを見つめている。イジメの実行犯である私とは似ても似つかない、無垢な顔立ちで。
私は、こくりと頷いた。
「よし決まり。新しいタイプの除霊だね」と彼は笑い、私もつられて笑顔になった。
――その判断が良かったのだろうか。三田鹿乃子の霊は現れず、死を覚悟した私は、無事に朝を迎えられたのである。
最初のコメントを投稿しよう!