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4: 動 機
男は涼と名乗った。
私達はバーチャルアイドルを〈Kanon〉と命名し、活動を開始した。Kanonは爆発的に……とまでは言わなかったが、それなりの人気を博した。
仕事から帰宅するのは、早くても夜七時。それから動画作りに勤しみ、隣の自宅に帰るのは深夜である。
あれきり霊は現れない。
涼の言った通り、この選択こそが正しかったのだ。
「朋菜さん、最近忙しそうですねー。彼氏でも出来たんですか?」と舞が訊く。
「違うよ。ねえ、例の動画って、まだ流行ってる……?」
「さあ。たぶん?」
「ていうか舞は怖くないの? 舞のところにも、三田鹿乃子の霊が来るかもしれないのに」
舞は目を丸くして笑った。
「言われてみれば、確かに!」
呑気な返事に脱力する。
……舞って、ちょっと抜けている。
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