♡裏ノ話♡ ― 試し読み ―

＊キャバクラ＊黒服＊２＊

　私はぶっちゃけその吉祥寺のキャバではウケないジャンルの服装、化粧、髪型をしていた。
　なので、服装はドレスのレンタルがあるからなんとかなるが、化粧をなんとかしてくれと言われ、控えめで大人っぽい雰囲気へと直した。
　ヘアメのバイトさんもおらず、専用の部屋もなく、待機は団体席で、厨房もなかった。

　長方形の、どこにいても全ての卓が見渡せる程度の広さで、調度品はフロアへ入った入口の横に一つ、アンティーク風なガラス棚があるだけだった。
　中にはシャンパンや、ワイン、リキュールや、ウィスキー、ブランデーなどが飾られていた。

　営業の電話などをかける際には外に出るのだと言う。
　とりあえず髪色はどうにもならないので、金髪を巻いてアップにしていたものをおろして、自分でも出来る編み込みで後頭部にまとめた。

　私に与えられたのは赤のロングドレスで、気が強そうな印象を持たれるのは不都合が多いので、今までなるべく避けていた色のものであった。
　変えて欲しい、と頼んだが、取り合ってもらえなかった。

　どうやら私は、ここではとことんお呼びじゃねえんだな、と言う予感は的中した。