モテたい彼と依存する彼女

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 昼休み、郁斗は陸と共に、どうせならまた屋上へ続く階段で昼を食べようとふたりで昼休みになったと当時にふたりで昼ご飯を食べていた。 「汐見さん、話してみたら全然普通にいい子だったね」  陸がパンを食べながら言う。今日は陸はコンビニで買って来たパンを食べていた。学校にもパン屋はあるが、お昼はあまりにすごい争奪戦で、陸は『そこまでして買いたくない』と言って大体お弁当じゃない日はコンビニで朝買ってきていた。 「……なんで誰にでも告白するんだろうな」 「郁斗はなんでモテたいの?」 「え!?」  思いもよらない陸の問いに、思わず箸が止まった。 「……みんなモテたいんじゃないの?」 「うーん、俺は別に……今は女の子より友達と遊んでた方が楽しい」 「それは、多分陸が人並みにモテて来たからだと思う……」  そんなこともないけど、と陸はパンを食べながら不思議そうな表情をしている。  陸は、仲の良い人としかほとんど話をしないし、積極的に女の子と話をするタイプではない。  でも、顔は中性的で整っていて、一部の女子からかなり人気があることを郁斗は知っていた。ただ、あまりにマイペースなためあまり近寄ってくる勇気のある女子がいないだけだ。    そんな話をしていたら、足音がした。予想通り知那が恐る恐ると言うようにこちらを覗いていた。郁斗たちを見つけると、嬉しそうに歩いてくる。手には、あの日と同じように弁当を抱えていた。 「汐見さんまだ食べてないの? 食べようよ」  陸が知那を見て、座るように視線を促した。  知那は「えっ……」と驚いたように声を上げて、少し迷い、 「じゃあ……」  と郁斗たちが座ってる階段の少し下の段に座った。  膝に置いたピンクの弁当の袋から、花柄の可愛い弁当箱を出して、なんとなくぎこちない様子で食べ始める。   「それだけで足りるの?」  郁斗は思わず聞いてしまった。それくらい、知那の弁当は小さくて、郁斗の半分くらいに見えた。  女の子はみんなこんなもんなのか……なんて思いながら、小さくて華奢な知那を見た。  知那は頷きながら箸を進める。  相変わらず、郁斗が話しかけると嬉しそうな表情をする。その表情を見てると、郁斗は最初に感じた「迷惑だ」という気持ちは、どんどんなくなっているのを自覚していた。 「汐見さん、これ」  食べてる知那に、コンビニで買っておいたお菓子の袋を渡す。 「えっこんなに? 私が上げてたのなんてほんの少しなのに」 「でも、友達にもあげてくれてたし、結構な量だろ。みんな、喜んでたから……それ、新商品だったみたいだし、お礼。多かったらクラスでみんなで食べて」  郁斗がそういうと、知那はちょっとだけ悲しそうな表情をした気がした。が、すぐに笑顔になって、「ありがとう」と受け取った。 「汐見さん、無理してお菓子なんてくれなくていいからね、そんなのなくても普通に話しかけたらいいよ」  陸が知那に言う。 「そうそう、毎回ありがたいけど、申し訳ないっていうか」  陸に続いて郁斗が言うと、知那は食べ終わった弁当箱をしまいながら、困った表情を浮かべていた。  なにも答えず俯いてしまった知那に、郁斗は困惑した。陸も同じように『なんか悪いこと言ったかな』と郁斗に耳打ちしてきたが、答えられなかった。  どうしたものかと考えていると、知那はゆっくり顔を上げて郁斗を見た。 「……あの、郁斗くん、好きな人いる……?」
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