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補習1日目
「先生、俺あんたのこと好きなんだけど。」
かなりぶっきらぼうに聞こえた。
けれど確かに赤く染った耳をして。
伏せられていた目線が、ちらりと俺を捉えたかと思うと、すぐにまた彼の手元のノートに移った。
日に焼けて茶髪になりかけた短髪が風そよぐ。
校庭から聞こえた、金属とボールがぶつかる甲高い音が、耳に木霊した。
いつもならば、彼もそんな日常に溶け込んで、そんな音を鳴らしているはずの時間。
『補習』という名の日常すぎる非日常が、
生徒と2人きりの教室という、これまた日常すぎる非日常を作り出していた。
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