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「せんせ、俺......この補習ご褒美がないと頑張れないかも。」
今日もまた始まるこいつとの補習。
高校生にもなって、そんな子供じみたことを言う彼は、未だに解のない問に答えを見出そうとしているようだった。
机に腰掛けて上目でこちらを真っ直ぐと見る彼の瞳が、差し込む光に晒されて鋭く光る。
お前が満足するような褒美なんて、
先生、あげられそうにないなあ。
端正な顔つき、逞しい身体、
温厚でノリのいい明るい性格でありながら、
決して驕ることはなく、誰よりも努力を惜しまない。
皆から信頼され、期待され、
クラスやチームの中心的存在。
そんな誰もが羨む...
いや、羨むを越えて憧れを抱いてしまうような、なんでも持っている彼が望むモノなんて、
平凡な俺なんかは持っていない。
それなのに、こんな俺に彼は何を望むのだろうか。
ほんの少しだけ気になってしまった自分もいた。
わざとらしく眉をさげている生徒の企みに乗ってやるのも教師の仕事...だよな?
しかたない......
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