補習3日目

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「そのご褒美、ちょっとだけ前借りさせてよ。」 俺の言葉が気にくわなかったのか、 眉をひそめていた彼は徐ろに立ち上がったかと思うと、俺のネクタイを掴み強引に引き寄せた。 すっと伸ばされる彼の首、 勢いそのまま顔と顔が近づいた。 気づいた頃にはもう遅い。 咄嗟の出来事に、俺は呆然と立ち尽くした。 彼は、閉じていた瞳を薄く開いて、 触れていた唇を名残惜しそうに離した。 そのまま何事も無かったようにイスに座り直すと、満足気に左手を突き出す。 今日のプリントは?って。 それからのことはあまり覚えていない。 借りるもなにも、これは強奪じゃないか。 記憶も唇もお前に奪われた。 触れた唇は燃えるように熱かった。 覚えているのは、その感触だけ...
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