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本当はずっと気づいていた。
授業中に感じる、そのしつこいほどの視線に。
校舎のいちばん端にある、この教室に来る度に、
俺の背中に注がれるそれは熱を帯びていて、
それがなんともこそばゆかった。
そして、俺はその熱を知っている。
その熱のどうしようもない行方も。
数学には必ず正解がある。
かつて、数学が苦手だった俺に、
そう教えてくれたのが友人Aだった。
どんな数式も、
絡まった糸を少しづつ解いていくと、
シンプルな1本の糸になるんだ、と。
俺はいつか数学者になって、
難解な数式に絡まってしまうお前の糸を、
全て解いてやりたい、と。
あまりにも透き通った笑顔でそう話す友人Aを見て、俺はいつのまにか好きになっていた。
数学も、彼のことも。
好きこそ物の上手なれ。
友人Aと過ごす時間と俺の数学の成績は比例して
右肩上がり。それよりも急な傾きで募る友人Aへの気持ちも。
青いあの日の記憶。
友人Aもきっと俺のことを気に入ってくれてる。未熟な俺にはそう思えても仕方ないほどの密度で、
俺たちの日々は過ぎていった。
俺は、言ってしまったんだ。
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