18人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう、やめにしないか。先生はお前の気持ちには答えられない。」
ああ。ついに、ほんとうに
この耳で確かに、聞いてしまった。
頭に昇っていた血が、瞬く間に引いていく。
なんで、こんな時だけ、
俺の目をちゃんと見つめて話すんだ。
それが先生の "解" 。
覚悟はしていた。
この果てしない直線の終着点が
ついに来てしまったみたいだ。
俺が1番、望まない終わりが。
もう先生の心のバッターボックスに
俺が立てることはないんだろう。
......先生、ありがとう。
こんな俺の補習に付き合ってくれて。
これで最後だから、
俺の未練をこの一時だけ許してください。
わかった、先生の口からはっきり振られたんだったら、もう仕方ないよな。今まで困らせてごめん。
俺はそう言って、ようやく俺を見てくれた先生のおでこにキスをする。口にじゃないだけ許してくれよ。
先生、俺。
今、野球頑張ってんだ。人生かけてる。
そうか、頑張れよ。先生はそう言って、困り眉でぎこちなく口角を上げた。
外はもうだいぶ暗かった。
そろそろ俺は本来の家に帰るかな。
最初のコメントを投稿しよう!