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「突然何を言い出すんだ。そんなこと言っても、補習は終わらないぞ。冗談はほどほどにしとけ。」
静かな教室とは裏腹に、
俺の心臓は騒がしかった。
全身に巡らそうと脈打つものの、
血は頭に上るばかりで、
酸素なんてほとんど肺に入ってこない。
それでも精一杯、
平静を装おうとペンを握る指先だけを動かした。
ちらりと盗み見た先生の表情は、いつも生徒をみている顔と同じだった。
頭の出来が悪い俺だから、作り出せた非日常。
先生がそれを日常に消化しきる前に、
はやく次の言葉を、先生の心をざわつかせるなにかを、俺は紡ぎ出さなければならないのだ。
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