補習2日目

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「お前は数学が嫌いなのか?」 一向にペンが進まない俺を見かねたのだろうか。 先生はいつのまにかオレンジに染まりかけた外を眺めていた。 ...好きですよ。 口から出た言葉は本心だ。 数学の授業が好き。先生がこの教室に来て、 チョークで軽快につらつらとリズムを刻む。 その文字列の意味が俺には理解出来なくても、 それでも、全てを書き終えた後に、 チョークの粉を払いながらこちらを向く先生の、 そのキラキラした表情が俺は好きだ。 こんなに楽しそうに授業をする人は はじめてだった。 俺はいつの日か、 その輝きが俺だけのものだったら、 なんて思った。 先生は知らないだろう。 俺がいつから貴方を想っていたかなんて。 時間と気持ちは比例して、 毎日少しづつ募っていくのだ。 この果てしない直線に、 終わりが来るとすれば、それは... 補習はあと残り3日だけ。 逆転サヨナラホームランを狙うしか、 俺に残された道はないのだろう。
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