逆愛Ⅱ《洸弍side》

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「何だよ?」 「神威のところに行くんですか?」 あぁそうか、大空はさっき俺と綾くんの会話聞いてたから知ってるのか。 「悩み中だ。最近寝不足だから寝たいっつーのもある。飲まされて記憶無くなるのも嫌だしな」 何より、 綾くんに会っても、ときめかない気がする。 今日久しぶりに会えて嬉しかったけど、昔あった恋愛感情とは違う。 「なら、俺の部屋で寝て下さい。神威の身代わりになりますから」 「どういう意味の『寝る』だよ」 「両方」 超絶うぜえ発言だな。 なんでてめぇと寝なきゃいけねぇんだよと思いながら、別に嫌だとは思わない自分がいた。 「まぁ、あっちに参加するのも面倒だしな。それでもいいぜ」 そしてベッドに移動した。 服を脱がせる前に、大空はいつも俺に目隠しをする。 綾くんだと妄想するための手段。 「きつくないですか?」 「…少し緩めろ」 何も見えない状態で、いつも綾くんを想像してたのに。 目隠しが無意味に感じた。 大空が俺を押し倒して、服を脱がせ、キスをする。 「もっと舌出して」 こいつは綾くんが言いそうな台詞でキスをするのに、舌からは酒の味がしない。 綾くんが俺を抱くのは酔っているときだけだ。 だから綾くんとのキスは酒の味がする。 舌を絡める度に微量の酒を感じながら綾くんを感じて。 だから気づいているのに。 目隠しをしていてもこのキスが綾くんじゃないことなんて。 前から気付いてたのに、俺は大空を利用してたんだ―… そう思いながら、酒の味がしない舌を激しく絡ませ合う。 こいつのキスが上手いのも、住谷まりから教わったのかと思うと切なく感じた。 キスを辞めて、その唇が俺の耳に移動する。 「は、ぁ…」 耳元でピチャピチャという音と快感が重なり、背中がゾクゾクする。 その唇は俺の首筋を吸い付き、鎖骨へと移動し、乳首へと辿り着く。 舌で転がしたり、吸ったり。 「あっ…ん、アッ!」 それと同時に、俺のズボンを下げて硬くなっているモノを取り出した。 乳首を攻めながら、俺のモノを扱く。 「アッ、アァッ…ん、は…アッ」 そして大空は俺のモノを口に含んだ。 モノを扱きながら、亀頭を攻める。 それと同時に、余った手の2本の指を俺の秘部へと挿入する。 2箇所を同時に攻められて、快感が走る。 「アァッ!ん…は、ぁ…アッ!い…イクぅ!」 そして俺は大空の口の中に精液を出した。 もう分かってる。 今俺を抱いているのは、綾くんじゃなくて大空だってこと。 大空を綾くんだと妄想することが出来ていない自分がいた。 そして俺は目隠しを取った。 目の前にいるのは、大空。 分かっていたことだけど。 「あれ、取れちゃいました?」 大空は自分の服を脱いでいて、俺が自分で目隠しを取ったことに気付いていなかった。 再度目隠しをしようとする大空の手を掴んだ。 「早く続けろよ」 「目隠ししなくていいんですか?」 目隠してようがしてまいが、もう大空に抱かれてるのを理解している。 なら必要ないんだよ、こんなもの。 「いいから早く、俺を満足させろよ」 そして目隠しの無いまま、大空は硬くなった自分のモノを俺の秘部に押し当てて挿入した。 「アァッ!ん…」 初めて大空の顔を見ながらセックスする。 大きく引き締まった体、 腰を揺らす姿、 短髪から落ちる汗、 純粋な目、 洩れる息、 全て欲しいと思った。 だから、大空の手を握りしめた。 「あ…ん、アッ、い…イイ!んっ」 大空が俺にキスをしながら激しく突いてくる。 グチュグチュというイヤらしい音が静かな部屋に響く。 ドキドキする。 久しぶりに綾くんに会えた時よりも、胸が高鳴る。 「もっ…と、奥ぅ!アァッ!ん、はぁ」 素直に、必死に腰を揺らして。 ―…愛しいと思った。 大空と目が合う。 感情がおかしくなりそうだ。 「見、んな…アッ、ん」 だから俺からキスをしてやった。 どうにかなりそうなこの感情を紛らわせたくて。 昔、綾くんを好きだった時と同じ気持ちだ。 大空を直視できない。 「もっと!あ…は、ん!い…イク!イクぅ!アッ――…!」 「は―…!」 そして俺と大空は同時に果てた。
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