逆愛Ⅲ《洸弍side》

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俺の足に力が入らず、その場に腰を下ろした。 「何なんだよお前…強引過ぎだっつの」 「すいません。…誠に負けたくなくて」 「何の勝負だよ」 天野に負けたくない? こいつ、もしかして俺が天野に抱かれたと勘違いしてんのか? 「シャワー貸せ」 「あ…はい」 俺はそのままバスルームに向かった。 申し訳なさそうな顔しやがって。 散々ヤッておいて、いつも最後は犬みたいになりやがる。 だから優しくしちまうんだよ。 「おい」 俺は振り返って言った。 「天野とは本屋で会って、喫茶店行っただけだからな」 「え?」 そう言い残してバスルームに入った。 全く、世話のやける後輩だ。 「なんであんなヤツ好きになっちまったんだろうなぁ…」 俺はひねくれてて、あいつは単純だから。 あの素直さに惹かれてるんだ。 ただ、大空が帝真を好きというなら応援は出来ないと思った。 大空の全てが帝真のものになると考えるだけで嫌になる。 日に日に大空を好きになっているから。 大空が離れてしまうのは怖い。 考えただけでこんなに胸が切なくなるなんて。 好きになった人はいつも違う人を見てる。 俺の運命なのかもしれないな。 「洸弍先輩、タオル置いときますね」 「あぁ」 「シャワー浴び終わったら夕飯食べに行きましょう。腹減りまくりっす」 この距離でも心地良い気がした。 俺が誰かを求めても、手に入ったことなんてないんだ。 だからせめてこの位置だけは譲りたくない。 大空は俺の居場所だから。 だから、せめてこの位置だけは俺のものでいいだろう? これ以上求めないから、離れていかないで。 「美味い!もっと持ってこよう」 「お前なぁ…バイキングなんだから1皿完食してから行けよ」 だから、 「いやいや、あの料理残り少なかったから全部取ってきます」 「うぜぇ」 その笑顔を絶やさないで。 錯覚でもいいから、俺のために笑ってると思わせてくれ。 お前の恋が実るまでは、この位置にいさせて。 無理な話だけど、 出来れば、ずっと―…
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