仲間たちとの約束

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仲間たちとの約束

バスは、二人が通う学校前のバス停に到着する。 由香と文彌はバスから降りると学校の玄関に続く学生の人混みの中に合流する。 友香は教室に着くと、親友の真奈美に昨日の 『ツバサ』の生配信の報告をした。 『ツバサ』は友香の『推しメン』。 一方、文彌は教室に入ると仲間たちの 輪の中に入る。 「ね、ね、文彌、考えてくれた? 例のこと」 と仲間の一人が話しかける。 「ん? あれのこと? あれ本気で  言ってたの?  俺冗談だと思ってたけど」 「う~ん ちがう、ちがうよ、文彌君! マジだったんだって。いいだろ? な!」 「仕方ないな~、どうせ都会に遊びに  行きたいだけだろ?行くか」 「じゃあ、応募するからな」 「わかった」 夕方になると、由香と文彌の自宅には、 リビングに夕陽が差し込、オレンジ色に 染まる。 リビングとキッチンを仕切るようにカウンターがあり、玲子の野菜を切る包丁の音が『トントントントン』と部屋中に響き渡っている。 お鍋には、大きなジャガイモと小さく切られたニンジン、所々に見え隠れるお肉が『グツグツ』と包丁の音に合わさりハーモニーを奏でる。 「ただいま~」 元気な声が玄関から聞こえてくると、 「あっ! 二人ともお帰り、お弁当箱出して」  玲子が声をかける。 「はい、お母さん、今日もお弁当  美味しかったよ」 「そう、よかった」 「いい匂い~。今日はカレーだ」 「もう少しで出来上がるから……」  玄関からリビングに歩いて行く二人の後を  文がついていく。  「母さん、あのさ……」  「なに?」 「いや・・別に何でもないよ。  俺先に風呂に入るわ……」 そう言うと文彌は階段を上り自分の部屋に入って行った。 父、純平の帰宅後、立花家では4人一緒に 夕食を食べはじめる。 部屋の中央にある四角いダイニングテーブルに両親、向かい側に友香と文彌が並んで座る。 毎日、賑やかな食卓、由香は、必ず学校での出来事を報告し、文彌はそれにツッコミを入れる。それを純平と玲子が楽しそうに聞いている。 「はい、これ、あげる!」  と友香は自分の皿に盛られたニンジンを  文彌のお皿にポンポンと入れる。 「ちょっと、やめてよ!ねぇちゃん、   俺の皿ニンジンだらけになるだろ!  食べろよ、こんくらい!」 「え~ だって嫌いなんだもん、食べれない」 「友香、そのくらい食べなさい」と笑いながら純平が言う。 「お父さんだって、サラダのトマト  食べないでしょ?」 「これは、いいんだよ なぁ、玲子さん」 「なんで~ずるいよ」 「はいはい」と微笑む玲子。  リビングから聞こえる笑い声は  今夜も庭に響く。
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