旧ひ詩

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幾年経てど 焦がれ溶けても 渡せぬ恋慕 未だ枯れず 暮れゆく街に 想ひ重ねて 吾の無様を 嘲笑う 夜風揺らめき 冬の薫りを 纏ゐ現る 白海石榴 落ちぬ海石榴は 微笑み咲かし 吾の心に 火を灯す 「愛してゐます」 鬱金香の徒花は 穴を探せと 俯き翳り 膝笑ふ 「死んでもゐゝわ」 吾の手握り 涙を拭ふ 海石榴の頬は 鴇羽色
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