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入学して3ヶ月が経った。
知り合いがいなくて少し不安に感じた入学式の日が嘘のように、他愛もない話ができる友達がクラスや部活にたくさんできた。
真島くんとも、まるで中学から友達だったかのように何でも喋れた。
傘やホウキを武器に遊んだりしてまだまだ幼いなーとほほえましく思うこともあれば、英語が得意で将来の目標ももうしっかり考えているんだ、と大人っぽさを感じることもあり。
弟のようでお兄ちゃんのようで、男兄弟のいない私にはとても新鮮だった。
真島くんはたまに休憩時間にメガネを外して、レンズを綺麗に拭いている。
普段は前髪とメガネでぼかされているけど、メガネを外すと実際は目が結構大きくてくりっとしている。
そしてまつげがすごく長い。
真島くんがメガネを拭く時だけ見ることができる、1分にも満たない素顔の時間。
私は密かに、いつも見ていた。
ノートを整理したり、友達と喋るフリをしたりして。
その後あっという間に突入した夏休みは、ひたすら部活に明け暮れた。
真島くんとは一度も会えなかった。
陸上部は外、バスケ部は体育館で、見かけることすら叶わなかったから。
どうでもいい話や、この宿題ってどうするんだっけ?みたいなスマホでのやりとりは普通にしていたけど、やっぱり会ってお喋りがしたかった。
夏休み中にあった色んなことも報告したかったし、早く夏休みが終わって、また貴重な素顔を拝めるあの至福の時間が来るのが待ち遠しかった。
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