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いよいよ真琴が誠と過ごす時がきた。午前中は紀香が誠と過ごした。何をしていたのか聞くと「お菓子食べて映画観た」と言っていた。これは何の参考にもならない。
不安でいっぱいだったが覚悟を決め真琴は撮影に臨んだ。
「よろしく、真人間さん」
キラキラした微笑みで迎えてくれた誠。それだけで胸がいっぱいになり言葉が出なかった。
「何しようか?」
「特に考えてなくて……」
「じゃあ散歩でもしようか。午前中お菓子食べ過ぎちゃって。運動したいんだ」
2人は外に出て湖のほとりを散策した。すぐ横には誠がいる。しかし2人きりではない。前方にはカメラさんがいる。これじゃ喋りたい事も喋れない。でもアピールするのは今しかない。
「誠さんは何故番組に出ようと思ったんですか?」
「僕は仕事が忙しくて出会いがないから応募したんだ」
「私もそうです。今工場で働いていて、周りは女性ばかりなんです」
「何の工場?」
「お菓子の工場です。ラインに流れてくるお菓子を箱に詰める仕事です」
「ああ、それでノンちゃんがいつもくっついてるんだね」
誠はクスクス笑った。
「私お菓子の匂いしますか?」
「うん。甘い匂いがするよ」
誠が真琴の髪に鼻を近付けた。それだけで真琴の顔は真っ赤になった。
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