25時のシンデレラ

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「いよいよ告白の時間が訪れました。(まこと)さん、心は決まりましたか?」 「はい」  タキシード姿の誠はガラスの靴を手にした。 「なんと! ガラスの靴です! 番組史上初のプロポーズです!」  居並ぶ5名の女性達は息を飲んだ。  毎週金曜日の深夜に放送されている「25時のシンデレラ」。1人の男性に対して女性は10人。たった1週間という短い期間を一緒に過ごし、最終日に男性がパートナーを選ぶという番組だ。  「シンデレラ」というだけあって男性は高学歴高収入の王子様である。ごく普通の女性たちが玉の輿に乗ろうと競い合う。  男性は最終日、交際を申し込む場合はバラの花束を女性に渡し告白をする。女性に対し生涯を共にしたいと決意した時はガラスの靴を女性に捧げプロポーズする。  そんなシンデレラストーリーを夢見て沢山の女性が番組へ応募をする。真琴(まこと)もそんな1人だった。  ごく普通のサラリーマン家庭に生まれ、ごく普通の高校を卒業し、ごく普通の会社に就職した真琴。顔も成績もごく普通。自分はこのままごく普通の一生を過ごすものだと思っていた。  しかし「25時のシンデレラ」を観て自分にもチャンスはあるかもしれないと思い始めた。  お洒落なリゾートホテルで繰り広げられる女性たちのバトル。とても自分には無理だと思った。しかし最後に選ばれるのは大人しく控え目な女性が多かった。キレイに塗り固められた顔の女性より清楚な女性が男性を射止めていた。  これなら私にも望みはあるかもしれない。私もシンデレラになれるかも、いや、努力次第ではなれる。なるんだ。真琴はそう思い立ち番組に応募した。
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