マスクのままでも好きで居てくれますか?

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 初めてのデートは、電車で三十分程の距離にある都内有数の室内遊園地に行った。    昼過ぎに到着した店内は夏休み終盤ということもあってか、子ども連れの家族が多かった。 「ねえ未来くん何から乗る?」梨沙が心底楽しそうに聞いてくる。  五階建てで各フロアに何ヶ所かアトラクションが用意されているようで、一階はどうやら人気の絶叫系マシンが一ヶ所と、子ども向けのアトラクションがいくつかあるようだ。 「あれはどう?」  リズムゲームとジェットコースターが合わさった人気のアトラクションを僕が指差す。 「いいね。楽しそう」  じゃあ、と言ってその列に並ぼうと動き出すと、待って、という声で呼び止められた。 「これってメインのアトラクションじゃない?」 「そうだね。入り口の大きいポスターに写ってた」 「最初にメインはマズイよ。これが一番楽しかったらどうするの? この後ずっとこれと比べて下回っちゃうよ」 「そう? 楽しかったらもう一回乗ればいいんじゃない」 「えー同じの何回も乗る時間ないよ。こんなにいっぱいアトラクションあるんだよ」  輝かせた梨沙の目はそこら中ではしゃぎ回る小学生と同じようだった。 「じゃあ違うのにしよう。メインじゃなさそうで且つ楽しそうなのを探す」 「はい賛成」  賛成というかほとんど梨沙の意見では? そう思ったものの、まだ一つのアトラクションにも乗っていないのにこんなにも楽しそうにする彼女を目の前にそんは事は言えるはずもなかった。    感情を表に出すのが下手な僕とは違って、思ったままを態度に出せる彼女が羨ましくて好きなところだ。  それから僕たちはいくつか前座みたいなアトラクションを体験した後、メインのアトラクションを楽しんだ。  さすがポスターに堂々と載せているだけあって良かったのだがその分待ち時間も長かった。  少し疲れてしまっていた僕は休憩を提案した。
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