捜査

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捜査

 数名の警察官が、どやどやとクラブに流れ込む。 「ロビン、君がいるのか!」  驚きの声を上げたのは、ケビン警部だった。筋肉質な刑事は、不幸にもこの事件の担当になってしまったようだ。 「今日もそなたか」  リリーが嫌そうな口ぶりで言った。 「リリー、君までいたのか」  警部は意外そうな表情を作り、その後、少し安心したような顔をした。どんな証拠も見分ける能力を持つ異能吸血鬼が現場にいたのだ。捜査の上で、これ以上安心な人材はいないだろう。  部屋は警察の手によって封鎖され、ロビン達は2階の喫煙室兼ホールに移動させられた。 「これはまずいですよ」  現場から声が飛ぶ。 「被害者は、テッド男爵です」 「男爵!」  ケビン警部が、驚きの声を上げた。ロビンも、心臓が跳ね上がる思いがした。正真正銘の爵位持ちの貴族が、変死を遂げたのだ。その現場に居合わせた。 「とにかく、現場保存が第一だ。皆さん、今日はもう夜で、暗いから、正確な見分は明日にしましょう。それまでは、申し訳ないですが、我々の監視下に置かせてもらいます」  仕方がない。  小さな部屋には立入禁止令が出され、入口には警官が一人、寝ずの番に立つ。  ロビンはダニエル、アーロン、バウンズと同じ部屋で寝ることになった。1階のホールを仮の寝室とする。温かな毛布が配られ、ロビンはそこにくるまって寝そべった。もしかしたら殺人犯と一緒に寝るのかと思うと嫌な感じがしたが、警官に取り囲まれている状況下では凶行に及ぶことは無いだろう。 「何でわらわが使用人区画なんじゃー!」  リリーの、抗議の大声が聞こえる。  男性と一緒に寝ることはできず、かと言って、一人で寝ることも危険があるため、リリーは階下の使用人区画で寝るように指示された。そこに大いに不満を持ったようだ。  使用人は、上の人間とは銀の盆でやりとりをするくらいクラスが低い。直接階上の人間に触れることすらできない身分なのだ。そんな人間と一緒に寝るのは、気位の高いリリーには我慢ができなかったのだろう。  思わぬところで、最悪の事件に巻き込まれた。そう思いながら、ロビンは甘い睡眠へと落ちていった。
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