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始める日。
「魔法なんてきらい」
小さな女の子の声だ。
鼻をすすり、しゃくり上げながら誰にともなく訴える。
「わるい魔法使いにみんなうばわれた。おとうさんとおかあさんをかえして」
わんわんと泣く女の子のそばには、同じ年頃の男の子が気遣わしげに寄り添っている。
ひとしきり背中を撫でてやった後で、彼は立ち上がって口を開いた。
「僕がつくるよ。君の心を守れる魔法を。だって僕はこの国の……」
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