始める日。

1/5
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ

始める日。

「魔法なんてきらい」  小さな女の子の声だ。  鼻をすすり、しゃくり上げながら誰にともなく訴える。 「わるい魔法使いにみんなうばわれた。おとうさんとおかあさんをかえして」  わんわんと泣く女の子のそばには、同じ年頃の男の子が気遣わしげに寄り添っている。  ひとしきり背中を撫でてやった後で、彼は立ち上がって口を開いた。 「僕がつくるよ。君の心を守れる魔法を。だって僕はこの国の……」
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!