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ゴミ捨て場のそばを通りかかった親子、そのお父さんに抱えられ、兵隊さんはゴミ捨て場から連れ去られそうになっています。
「いやだ、待って、あの子も一緒に連れてって!」
兵隊さんはそう叫びますが、出会ったばかりの親子にはその言葉を聞くことはできません。
お父さんの手から逃れようとする兵隊さんには、女の子が叫んでいるのが聞こえます。
「いいの。おもちゃは新しい持ち主から愛されれば、また新しい心を持てる。悲しい思い出も忘れられる」
兵隊さんは必死で叫び、手を伸ばします。
「いやだ! あなたと一緒ならどこにでも行く、焼却炉の炎だって怖くない! 灰や煙になってだって、ずっと一緒にいたい! 一緒でないならどこにも行かない! 行きたくない!」
遠ざかっていく兵隊さんに、女の子は手を振りました。
「いいの、これでいいの。さようなら、元気でね」
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