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その日中に父の両親にあたる祖父と祖母がやってきて酷く嘆いていた。翌日に母が、父の同僚であり友人の男性に訃報を電話で伝えた。そして夕方には家に来てくれた。線香をあげ母と色々な話をしていた。子供ながらに聞いていないフリをしていたが、葬儀はいつにするか、そもそも葬儀代はどうするのか、そんな話をしていた。帰り際に玄関先まで見送りに行くと、
「色々と気持ちの整理とかついてないと思うが、これから大変になるぞ。お母さんを支えてあげるんだぞ」
と肩をたたかれた。喪失感や葬儀のあれこれのことを言っているんだと思っていた。
その日の朝に弁護士を名乗る男がやってきた。父は遺言書を残していたようだ。それが手渡される様子を妹と二人で、廊下から聞き耳を立てて伺っていると、母の驚いた声が聞こえた。
「私たち以外に……家庭が、二つ?」
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