知らない父本当の顔

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「よう幸太郎。大丈夫か」 「おじさん! ちょ、これ何?!」 「お父さんの頑張りの賜物だな。誰か来てるのか?」 「市長さんと知事さんが、今さっき」 「やっぱ近いと早いな」 「近いって何? てかおじさん昨日来たじゃん」 「今日は俺じゃ無ぇんだわ」  じゃあ誰が──と言いかけたとき、アルファードから貫禄のある男性が降りた来た。 「長官、どうぞ」 「長官?!」 「こちら公安調査庁の朝霧長官と、警察庁の熊谷警視正と」 「なん……はぁ?!」 「あとで近藤国土交通大臣も来るから」 「だ、大臣?!」 「詳しい話は全部終わってからな。では長官──」 「ちょ、ちょ、ちょ!」 「何だよ」 「え、お父さんって、フツーの会社員だよな?」 「? そうだぞ」 「おじさんも、ただの会社員だよね?」 「もちろん?」 「いや無理あるって!」 「だから、精一杯、誠心誠意頑張ってたら、こうなるってことよ」 「ならねぇって!」 「まぁ、そういうことだから」 「あーーーっと、あと車! 動かさないと!」 「大丈夫だよ。周囲2キロは立ち入り禁止にしたから」 「何してんの?!」  そんなやり取りをしていると、ヘリコプターのローター音が爆音で頭上に近づいてきた。
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