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「中村班長!」
「なんだ?!」
おじさんが振り返る。
「ヨコタからカンパニーの客人だそうです!」
「外務省に『ジャパンの家にヘリは停めれねぇ』って伝えさせとけ!」
「はい!」
そう言うとおじさんは玄関へと足を進める。そして、ローターの爆音でも聞こえるように叫んだ。
「そうだ、お前のお父さんのアレな! 浮気じゃぁないからな! 安心しろな!!」
「いや今それどーでもいいわ!!」
そして親指を立てると、おじさんは玄関の扉を閉めた。頭上からはヘリが遠ざかってゆく。
「この15年間──騙され続けてた、のか?」
父は、何者だったのだろうか。あれだけ身近に感じていた父が、幻だったように感じる。頭上には雲一つない青空に飛行機雲が伸びていた。
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