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海へ
次の日、私は早起きした。お兄ちゃんに化粧していない顔や寝ぐせの付いた髪を見られるのが嫌だったからだ。彼はタイミング良く、身支度が終わった頃に、起きて来た。
「おはよう。朝からきちんとしていて偉いな。」
「えへへ。女の子だし、これぐらいはね。お兄ちゃんも顔を洗って来なよ。」
そう言うと、彼はまだ寝惚けているのか、少しふらふらしながら、洗面所の方向に歩いて行った。私はそんなお兄ちゃんに朝ご飯を作ってあげることにした。
台所でお味噌汁を作っていると、彼が顔を出して来た。
「あ、お兄ちゃん。お母さんはもう仕事に行っちゃっているから、私が朝ご飯を作るけれど、何か食べられない物とかある?」
「ないない。俺は何でも食べるぞ!」
そう言ったお兄ちゃんの笑った顔が眩しくて、私はどうにか一生懸命作るねと返した。
朝ご飯のメニューはお味噌汁に卵焼きに、鮭の切り身。
サービスでリンゴも剥いた。
「お!なんか豪華な朝食だな。いつもこんな感じなわけ?」
「そんなわけないよ。普段はもっと適当。でも、今日はお兄ちゃんがいるから。」
「そうかー。」
その後は、二人で黙々とご飯を食べた。
私はちょっと気まずくて、なんとなくテレビを付けた。
すると、夏休みの子供向けにか、丁度海の生き物特集を放送していた。
「お兄ちゃん。ここの家の近くに海があるから、そこに案内してあげようか。今なら泳げるよ。」
「行く行く!ここらの海って綺麗で有名だし、ちょっと楽しみにしてたんだ。水着も持って来たんだぜ。」
そう言って彼が笑ってくれたので、私はホッとした。
こうして私達兄妹は海に行くことになったのだ。
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