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帰り道
それから、私たちは一頻り海で遊んでいたが、段々と日も暮れて来た。
そこで、遊ぶのはもうお終いにして、一緒にスーパーに夕飯の材料を買いに行く事にした。
「あー。遊んだ遊んだ。ちょっと体が疲れたかも。」
「お兄ちゃんって、あんまり体を動かさないタイプなんだ。」
「そう。昔から運動は苦手でさ。体育の時間とか憂鬱だったぜ。」
私達はだらだらと話しながら歩いた。
この時間を貴重なものだと感じてしまうのが嫌だった。
今までずっと一緒にいたら、彼がここにずっといてくれたら、そんな風に感じなくて済んだのに。
「ねえ、いつまでここに居てくれるの?」
「母さんから聞いてないのか?後1週間はここにいるよ。留学の準備があるから、それ以上過ぎたら帰らなきゃ。」
「そっか。」
どこの国に行くのとか、何の勉強をしに行くのとか、何にも聞けずに俯いてしまった。そうして、二人の間に沈黙が落ちて、黙々と歩いている内にスーパーに着いた。
「うわ!寒い!」
「ちょっとクーラーの効き過ぎかもな。」
私が悲鳴を上げると、お兄ちゃんは何処かホッとしたような顔でそう微笑んでくれた。いきなり黙り込んでしまったら、気を遣わせてしまったのかも知れない。
長居すると風邪を引いてしまいそうなので、さっさと欲しいものをカゴの中にいれて会計を済ませて外に出た。その買った物が入った袋は、「俺が持つよ。」と言って、お兄ちゃんが持ってくれた。
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