恋心と葛藤と

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恋心と葛藤と

その日から、お兄ちゃんは私への態度がぎこちなくなって来た。 幾ら恋愛初心者だったとしても、彼は私を単純に妹として見ていないからこそ、そんな風な態度になっているのは何となく分かった。 (あんなカッコいい人に意識されて。私達が血が繋がってなかったら、脈ありだって喜んで友達とかに相談に乗ってもらったのに。) しかし、現実問題私達は血の繋がった兄妹なのだ。だから、お互いをこんな風に意識しているなんて誰にも言えない。 都会のハンサムな男の人(実のお兄ちゃんだけれど)に会えて、舞い上がっていた私は彼に意識をされた事で、却ってそんな現実に直面してしまって落ち込んでいた。 この時、私は家に居るのも気まずくて、目的もなく外を散歩していた。ここは凄く田舎なのでバスや電車で移動しないと、服屋や映画館もない。 都会の女の子なら、もっと簡単にそういう場所に行って気分転換できるだろうにと思って溜息を吐いた。 「俺、ミキの事が本気で好きだよ。もう命賭けてもいいぐらい。」 「もー。英君ったら大げさなんだから。でも、私も好きだよ。」 お互いにベタベタ触りながら、甘い言葉を交わしている私より少し年上のカップルと擦れ違う。 私もお兄ちゃんと赤の他人だったら、あのカップルみたいに誰に見られるか分からない場所で堂々と恋人同士としてイチャイチャする未来もあったんだろうか。 そう一瞬、考えてしまって目の前が暗くなった。
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